〜近代化と先人たちのワイン醸造 140 年〜

茨城県牛久市・山梨県甲州市
【日本遺産申請】

〜近代化と先人たちのワイン醸造 140 年〜

 日本遺産申請について

 

牛久市長インタビュー

日本遺産共同申請のきっかけについて

牛久シャトー(シャトーカミヤ旧醸造場施設)は、明治中期の本格的な煉瓦造ワイン醸造場の主要部がほぼ完存しており、建築としての歴史的価値が高いこと、産業技術史上も重要であることが評価され、平成19年には経済産業省の近代化産業遺産に、平成20年には国の重要文化財に指定されました。
先の東日本大震災で牛久シャトーも甚大な被害を受けましたが、平成28年には復旧工事が完了し、再び美しい姿を取り戻すことができました。
私はこの震災からの復活を機に、牛久のシンボルでもある牛久シャトーの素晴らしさを再認識するとともに牛久市のまちづくりに積極的に活用したいと強く感じました。
日本のワインに関する文化財で重要文化財に指定されているのは牛久シャトーだけであり、「日本ワインの黎明期を支えたまち」という牛久市と同じストーリーを描け、ワインに関する文化遺産が多数残る甲州市と共同申請できれば、より充実したストーリーを描けると考え、日本遺産の共同申請を打診しました。
そこで、平成29年5月に甲州市の田辺市長を訪問し、ともに日本遺産の申請をすることで合意しました。田辺市長のご英断には、本当に感謝しております。
 
 

甲州市との交流について

圏央道も開通したタイミングで、日本遺産共同申請を機に、甲州市と新たに文化・産業等を基軸とした交流が始まったことを大変嬉しく感じています。
平成29年9月に行われた「牛久シャトーフェスタ」では、甲州市によるブドウとワインなどの特産品の販売と観光PRを行なっていただきました。10月には、甲州市の宮光園など文化財を見学するバスツアーを実施、関連して11 月・12月の歴史リレー講座では、甲州市の文化財と歴史について講義していただきました。
その他にも両市が互いに、バスツアーで何度も行き来しています。市職員の事務的な繋がりだけではなく、市民レベルでの積極的な交流が、日本遺産認定の機運を盛り上げるためにも大切であると考えているので、続けるだけではなくさらに発展させていきたいと考えています。
 
 

日本ワインのふるさととしての魅力・セールスポイントについて

日本初の本格的な大規模ワイナリーである牛久シャトー。ここには、近代日本をつくりあげた偉人たちも数多く訪 れました。日本を近代国家として発展させるためのアイディアは、もしかしたら牛久シャトーでワインを飲みながら談笑する中で、生まれたのかもしれません。日本の近代化に、牛久シャトーのワインが一役買ったのかもしれないと想像すると、とても楽しくなりますね。
平成30年は「明治150年」の記念の年です。その記念すべき年に、JR常磐線で都心から約50分にある牛久市で、 日本ワインの歴史ロマンに触れる旅ができるのは、とても素敵だと思いませんか?
ワイン醸造に情熱をかけた先人たちの思いと、日本が近代化を歩むなかで活躍した偉人たちの思い。牛久シャトーで、近代化と先人たちのワイン醸造140年の歴史ロマンを感じながら、牛久のワインと食を、心ゆくまでお楽しみいただければ幸いです。

 
 

甲州市長インタビュー

日本遺産共同申請のきっかけについて

甲州市の勝沼地域におけるワイン醸造は、明治10年(1877)に民間のワイナリーとして国内初となる「大日本山梨葡萄酒会社」を設立し、2青年をフランス・トロワ市へ送るなど、現在のワインと変わらない「本格葡萄酒」の生産を目指したことから始まります。そのことがきっかけとなり、中小のワイナリーが次々と誕生し、ワイナリーに供給するブドウの栽培地が拡がっていったことで、今の勝沼地域の風景が形成されました。
牛久市の根本市長から、重要文化財「シャトーカミヤ旧醸造場施設」とともに 日本遺産の申請を、とのお誘いをいただきました。ブドウ栽培やワイン醸造に関する重要文化財が所在しない甲州市にとりましては、根本市長からのお誘いは大変ありがたく、その場で共同して取り組んでいくことに同意いたしました。
 
 

市長自身のワインに関する想い出について

勝沼のワインは国内では有名な産地であり、甲州種を使った甲州ワインは140年の歴史をもつ、我が国を代表する ワインです。しかし、世界的にはどうでしょう?
国外にワインを輸出する際には、「国際ぶどう・ぶどう酒機構(O.I.V)」にブドウの品種登録がされていなければ、ラベルに品種を記載することができません。そのため、醸造家が中心となり「KOJ(Koshu of Japan)」という活動を展開しています。その活動は、日本最古のブドウ品種である「甲州」のO.I.Vへの登録、甲州を原料とした ワインの世界市場における認知度の向上、ヨーロッパでのマーケットプレイスの確保です。
KOJは甲州市だけの取り組みではありませんが、目的を達成するためロンドンで開催されるプロモーションに私自らが毎年参加し、トップセールスに励んできました。
KOJの熱意により、平成22年に甲州種は、日本初のO.I.Vの登録品種として認定され、これ以後、ラベルには「甲州種」「Koshu」と記載して輸出できるようになりました。
この取り組みの一助となれたことを、大変誇りに思っています。
 
 

日本ワインのふるさととしての魅力・セールスポイントについて

明治時代になり、日本が近代化の道を進み始めて150年、近代化の旗印として勝沼で本格葡萄酒の醸造に着手して 140年です。甲州市のワインの歴史は、日本の近代化と足並みをそろえており、これほどの歴史を有する産地は国内にはありません。
また、勝沼のネームバリューは現在でも新たなワイナリーを引き寄せています。甲州市内で37軒、うち勝沼地域に は30軒のワイナリーが集まっており、このような密集ぶりは他の生産地では見られないものです(山梨県には 70軒のワイナリーがあり、国内ワイン生産量の33%ほどを占めている)。
四季折々の顔を見せる広大なブドウ畑を散策しながら、たくさんのワイナリーを巡り、作り手の話に耳を傾けると いうのは、とても贅沢な時間の過ごし方であると思います。「日本ワインのふるさと」だからこそできる、そんな贅沢を味わっていただければ幸いです。