〜近代化と先人たちのワイン醸造 140 年〜

茨城県牛久市・山梨県甲州市
【日本遺産申請】

シャトーカミヤ旧醸造場施設 旧醗酵室

神谷傳兵衛は傳蔵の帰国後に本格的にワイン醸造への取組みを始め、茨城県稲敷郡岡田村(現牛久市)にブドウ栽培の適地を見出します。明治31年(1898)に 120 町歩(約 119ha)もの広大な神谷葡萄園を開設、明治36年(1903)に葡萄園の北寄りの一角に牛久醸造場(現牛久シャトー)を建設し、ブドウ栽培からワインの醸造、瓶詰まで一貫した生産体制が確立、日本初の「シャトー」の称号が与えられました。牛久醸造場で生産された「牛久葡萄酒」はヨーロッパの博覧会や東京勧業博覧会で何度も金賞を受賞するなど海外でも高い評価を得ました。

 
現在、JR常磐線牛久駅から東へ800m程進むと、煉瓦造りのヨーロッパの古城を思わせるような「牛久シャトー」が毅然とした姿を現します。かつてこの周辺には、延長4kmにも及ぶ神谷葡萄園が広がり、ブドウ畑と醸造場をつなぐトロッコが敷設されていました。戦後の農地開放で葡萄園は解体され、 風景は一変しましたが、葡萄園の敷地であったことを示す「神谷」という地名、収穫したブドウを運ぶための牛久シャトーへ一直線に伸びるトロッコ軌道跡、神谷傳兵衛が郷里から勧請し葡萄園内にあった古墳を利用して設置した神谷稲荷神社など、周辺にはかつてのシャトーの様子を物語る文化財が現在も数多く残されています。「牛久シャトー」は、往時を偲ばせる現役のワイナリーとして観光やイベント等で活用されるだけではなく、牛久市のシンボルとして地域住民の郷土愛の醸成にも大きく寄与しています。