〜近代化と先人たちのワイン醸造 140 年〜

茨城県牛久市・山梨県甲州市
【日本遺産申請】

和風建築のワイナリー(甲州市)

一方、勝沼では、解散した大日本山梨葡萄酒会社から醸造用具 一式を引き継いだ土屋助次朗と宮崎光太郎(みやざき こうたろう)が、本格葡萄酒として 「甲斐産葡萄酒」の醸造を始め、明治25年(1892)には宮崎の私邸 に醸造場を新設しました。さらに大正元年(1912)に日本初となる 観光ブドウ園を併設したワイナリー「宮光園(みやこうえん)」を開設し、醸造場の見学とブドウやワインの飲食や販売を行う、日本のワイナリーで今日多く見られるスタイルを確立しました。土屋・高野・宮崎の活躍が刺激となり、この頃の鉄道の開通も相まって中小の醸造場が次々と興り、地元農家によるブドウの栽培・供給と醸造主によるワイン醸造・瓶詰とに分業化され、地域ぐるみによるワイン生産体制の大規模化が果たされました。

 
現在、JR中央本線下り、笹子トンネルを抜けると、広大な自然の起伏にクロスを広げたようなブドウ畑が一面に広がります。ここでは140種以上のブドウが栽培されており、ブドウ畑に囲まれた30軒ものワイナリーが勝沼に集中しています。その軒数はもちろん、創業100年を超えるワイナリーや、伝統的な民家や土蔵でワインを貯蔵・販売しているワイナリーは、他のワイン生産地ではみられない特徴です。また周辺には、煉瓦造りのワイン貯蔵庫「龍憲セラー」や、ワインを運んだ鉄道遺構の煉瓦造りトンネル、水害からブドウ畑を復活させた日川の砂防遺構など、ワイン産業を支えた様々な文化財が至るところに残されており、ワイン文化の足跡を辿ることができます。